今回ご紹介する作品は【イングロリアス・バスターズ】【1917 命をかけた伝令】【ハクソー・リッジ】【ヒトラーの忘れもの】【ONODA 一万夜を越えて】の5作品をネタバレしない程度に紹介します。
第一次世界大戦、第二次世界大戦、大戦後を描いた作品たちで、派手なアクションよりも熱い人間ドラマをメインにしている作品たちです。
【イングロリアス・バスターズ】(2009)
評価★3.8 おすすめ度82

監督:クエンティン・タランティーノ 脚本:クエンティン・タランティーノ
出演者:ブラッド・ピット、メラニー・ロラン、クリストフ・ヴァルツ、マイケル・ファスベンダー、イーライ・ロス、ダイアン・クルーガー、ダニエル・ブリュール、ティル・シュヴァイガー、B・J・ノヴァク、サム・レヴァイン、ポール・ラスト、ギデオン・ブルクハルト、オマー・ドゥーム、マイケル・バコール、アウグスト・ディール、ジュリー・ドレフュス、シルヴェスター・グロート、ジャッキー・イド、ドゥニ・メノーシェ、マイク・マイヤーズ、ロッド・テイラー、マルティン・ヴトケ、リヒャルト・サメル、アルンドゥト・シュヴェリング=ゾーンレイ、ザック・フォルカー・ミヒャロウスキ、ケン・デュケン、クリスチャン・ベルケル、アン=ソフィー・フランク、レア・セドゥ、ティナ・ロドリゲス、レナ・フリードリヒ、ルドガー・ピストール、ボー・スヴェンソン、エンツォ・G・カステラッリ
ストーリー
ナチス占領下のフランス。家族を殺された少女・ショシャナは劇場支配人として身分を隠し、ナチス根絶の復讐計画を進める。一方、レイン中尉率いる連合軍の極秘部隊は、次々とナチス兵を血祭りに上げていた。やがて彼らは、パリである作戦を実行に移し…。
解説
第二次世界大戦ナチス占領下のフランスにおけるナチスとユダヤ系アメリカ兵の戦い、そして迫害されたユダヤ系フランス人の復讐。史実をもとに”していない”お話。
ある意味、新鮮な戦争映画。なぜなら、戦争映画なのに最前線の戦闘シーンなどがまったく出てこないからです。そのため戦闘シーンが苦手という方にも観やすい作品かと思います。激しい銃撃戦みたいなものはありませんが、言葉のやりとりや心理戦のような部分がいく層にも重なり合って、まるで銃撃戦のような激しさ、鋭さ、深み、興味深さを演出しています。これにより、戦闘シーンがなくとも十分にスリルを味合わせてくれます。このあたりの作り方はさすがタランティーノといったところです。コメディではありますが、ランダとショシャナとの会食や居酒屋でのインディアンポーカーなど、終始、緊張の糸が張り詰め続けていて、どうでも良さそうな会話の一言一言にヒリヒリとします。そして、その緊張が最後の最後で一気に弾け飛び、何もかもがハチャメチャになるのが最高すぎます。
相変わらずタランティーノの作品は無駄に長いですが、なんだかんだ観終わった後の達成感というか、映画観たなーという気にさせてくれ、監督の名前を伏せても一瞬でタランティーノの作品だって分かるような、独特の世界観を持つ作品だと思います。
【1917 命をかけた伝令】(2019)
評価★4.0 おすすめ度87

監督:サム・メンデス 脚本:サム・メンデス、クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
出演者:ジョージ・マッケイ、ディーン・チャールズ・チャップマン、マーク・ストロング、アンドリュー・スコット、クレア・デュバーク、リチャード・マッデン、コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ、テレサ・マホーニー、ダニエル・メイズ、エイドリアン・スカーボロー、ジェラン・ハウウェル、ジャスティン・エドワーズ、ロバート・マーサー
ストーリー
第一次世界大戦が続く1917年のある朝。若きイギリス人兵士のスコフィールドとブレイクは明朝までに最前線の味方へ作戦中止の命令を届ける任務を命じられる。間に合わなければ、味方兵士全員が命を落とし、イギリスが敗北する重要かつ危険な任務が始まり…。
解説
サム・メンデス監督が実の祖父の実体験をもとに第一次世界大戦の西部戦線を描くフィクション映画。ドイツ軍の罠から味方の軍を守るため、命がけの伝令任務に挑む2人の若者を描く物語。
主人公が戦うというより、走る、走る、走って逃げる映画。急がなければ兄を含めた仲間の部隊が危ないというサスペンス、しかし敵のドイツ兵にどこから狙われるか分からないというスリル、それらがワンカット風の映像によって緊張感を高められていて観応えがあります。戦争映画というジャンルを前提とした映像特化型作品で、ストーリーラインもシンプルでこれといった思想も挟まれなかったので映像の魅力に集中できます。全編ワンカットに見えるという作風に視点を持っていかれてしまいましたが、終わってみればラスト10分のためにこの映画は存在するように思えます。脇役がコリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチなど豪華なのも見どころです。
全編ワンカット風だからこその没入感と緊迫感が半端なく、日常の美しさと死体が転がる凄惨さの対比、昼と夜の対比、必要最低限のセリフが戦争のリアルを表現していて、兵士の目線から戦地のひどい状況が少しでも追体験できるような作品だと思います。
【ハクソー・リッジ】(2016)
評価★4.0 おすすめ度88

監督:メル・ギブソン 脚本:アンドリュー・ナイト、ロバート・シェンカン、ランドール・ウォレス
出演者:アンドリュー・ガーフィールド、サム・ワーシントン、ルーク・ブレイシー、テリーサ・パーマー、ヒューゴ・ウィーヴィング、レイチェル・グリフィス、ヴィンス・ヴォーン、リチャード・ロクスバーグ、ナサニエル・ブゾリック
ストーリー
第二次世界大戦中、陸軍に志願したデズモンド・ドスは、銃を持つことを拒否して軍法会議に掛けられる。だが、意外な人物の尽力で主張を認められ、デズモンドはハクソー・リッジへ赴く。そこはアメリカ軍が史上最大の苦戦を強いられている過酷な戦場だった。
解説
第二次世界大戦の沖縄戦で武器を持たない衛生兵として従軍したデズモンド・トーマス・デスの実体験を描いた戦争映画。
主人公のデズモンド・ドスが、何故、銃を持つことを頑なに拒否し、それでも陸軍へ志願したのかが描かれる前半、実際に戦地へ赴き衛生兵として多くの命を救った姿が描かれる後半。特に後半の戦地の描かれ方が凄まじく、命を落とした兵士の姿、体がちぎれた死体、内臓がはみ出た姿など、かなりリアルに描かれていますが現実はもっと酷く、こんなものでは無かったのだろうと思います。野蛮さや残酷さはもちろん、正義とは何なのかなどを考えさせられ、そして信念を曲げない苦労や苦悩、信念を曲げなかった事の素晴らしさが描かれていて感動します。日本人が観ると複雑な感情になるかもしれませんが、どちらも正義のため、自国を守るために殺し合ってるんだと感じます。
淡々と描かれる凄まじくリアルな戦争シーンは見るのが辛くなってきますが、アメリカ側から見た沖縄戦がリアルに描かれていて戦争の残酷さがよく分かるので、出来るだけ多くの人が観るべき作品だと思います。
【ヒトラーの忘れもの】(2015)
評価★4.0 おすすめ度85

監督:マーチン・ピータ・サンフリト 脚本:マーチン・ピータ・サンフリト
出演者:ローラン・モラー、ルイス・ホフマン、ジョエル・バズマン、ミケル・ボー・フォロスゴー、ローラ・ブロ
ストーリー
1945年5月、ナチス・ドイツの占領から解放されたデンマーク。ドイツ軍が埋めた地雷の撤去のため、捕虜のドイツ兵が駆り出される。デンマーク軍のラスムスン軍曹は彼らを厳しく監督するが、年若い少年たちに罪を償わせることに疑問を抱くようになる。
解説
第二次世界大戦が終戦した直後のポーランドで敗残のドイツ兵が帰還する中、海岸にドイツ兵が埋めた地雷を駆除するために招集されたのは捕虜であるドイツの少年兵だった……という話。
史実に触発された映画で、第二次大戦後、捕虜となった若いドイツ兵約2000人が、デンマークの砂浜に埋められた数百万の地雷撤去を命じられ、半数が命を落としたり手足を失ったそうです。地雷撤去の物語でありながら、ドイツの少年兵とデンマークの軍曹の両者にスポットライトが当てられた人間ドラマに感情を揺さぶられ、一つのミスで爆発する地雷が常に目の前にあるという緊迫感にハラハラさせられるため、とても疲れる映画かもしれません。鬼軍曹の心理の変化や物語の結末は割と容易に想像できてしまう脚本ですが、画面作りや役者の気持ちの表現等がしっかりと演出されているので、最後まで作品に没入して鑑賞できると思います。
ナチス・ドイツの残した地雷の除去に当たるドイツ人少年兵の不条理な現実をスリリングに描きながら、少年兵を未熟な子供として認識し始めたデンマーク人軍曹の葛藤と大いなる決断を的確な心理描写で映し出していて、派手な見せ場は一切ありませんが、戦争の愚行さを静かに問いかける名作だと思います。
【ONODA 一万夜を越えて】(2021)
評価★3.9 おすすめ度81

監督:アルチュール・アラリ
出演者:遠藤雄弥、津田寛治、仲野太賀(太賀)、松浦祐也、千葉哲也、カトウシンスケ、井之脇海、足立智充、吉岡睦雄、嶋田久作、伊島空、森岡龍、諏訪敦彦、イッセー尾形
ストーリー
終戦間近の1944年。劣勢のフィリピン・ルバング島で、小野田寛郎はゲリラ戦の指揮を命じられる。仲間を失いながらも、彼は島の奥地で見えない敵と対峙し続けた。どれだけ時間が過ぎたのか、小野田は1人の旅行者と出会う。時はすでに1974年を迎えていた。
解説
太平洋戦争終結後も任務解除の命令を受けられず、フィリピン・ルバング島で孤独な日々を過ごし、約30年後の1974年に51歳で日本に帰還した小野田寛郎旧陸軍少尉の物語を、フランスの新鋭アルチュール・アラリ監督が映画化。
彼は何を信じて、何と戦い、どう生きて来たのか……これはあくまでも実話であり、その小野田寛郎を中立な視点で捉えて描かれた作品です(島の一般人を殺害したことに関しては様々な批判がありますが、本作では島民サイドの視点を入れないことで、中立に徹しています)。中野陸軍学校で自決しない教えを学び、秘密戦の任務を遂行し続けた小野田寛郎、なぜ彼だけこれほど長く戦い続けることができたのか。その答えの一つが本作の中に描かれています。30年間を描くために日本人キャストの真摯なバトンタッチや妥協のない描写は、非常にリアリティがあり、フランスを軸としたスタッフの描く映像は美しさすら感じます。30年間の推移も3時間の長尺であることも含めて迫真性が保たれいるのも素晴らしいところです。
ジャングルでの生死ギリギリの日々を何故、抜け出そうとしなかったのか、その理由を静かに突きつけてくる終盤戦の描写は圧巻、感動すら覚えてしまうほど壮大な人間ドラマ作品です。
まとめ(評価とおすすめ度)
タイトル | 評価★ | おすすめ度 |
【イングロリアス・バスターズ】 | ★3.8 | 82 |
【1917 命をかけた伝令】 | ★4.0 | 87 |
【ハクソー・リッジ】 | ★4.0 | 88 |
【ヒトラーの忘れもの】 | ★4.0 | 85 |
【ONODA 一万夜を越えて】 | ★3.9 | 81 |
世界大戦を題材にはしていますが作品によっては史実をもとにしていたり、していなかったりします。
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