今回ご紹介する作品は【アオラレ】【スパイラル:ソウ オールリセット】【アンテベラム】【ナイトメア・アリー】【グリーンランド ―地球最後の2日間―】の5作品をネタバレしない程度に紹介します。
【アオラレ】(2020)
評価★3.5 おすすめ度80
監督:デリック・ボルテ 脚本:カール・エルスワース
出演者:ラッセル・クロウ、ジミ・シンプソン、カレン・ピストリウス、ガブリエル・ベイトマン、アン・レイトン、マイケル・パパジョン、ルーシー・ファウスト、オースティン・P・マッケンジー、シルビア・グレース・クリム、グレゴリー・ホーブソン
ストーリー
今日も朝寝坊をした美容師のレイチェル。あわてて息子を学校へ送りながら職場へと向かうが、高速道路は大渋滞だった。ついに解雇されたレイチェルは、下道を走行中、青信号になっても発進しない前の車にいらつき、クラクションを鳴らして追い越していく。
解説
昨今、日本でも多く見られる『煽り運転』を題材にした映画。
車の警笛は強く鳴らしてはいけないという映画。一度、車の警笛を強く鳴らしたがために、たまたま人生を放棄するくらいに虫の居所が悪かった殺人鬼に追い回され、関係する人々がどんどん殺されていくというスリラーだが、起こっていることは異常でもぜんぜんフィクションの感じがしない、リアルに起こり得る話であるということが怖いと思います。撮影のカメラワークで、煽られる側、被害者側が一歩引いた感じの少し離れた感じで撮られているのが、何か見られている感を更に醸成し恐怖心が煽られます。
カーチェイスやら格闘やら、あらゆる暴力が詰め込まれたジェットコースターのような展開でドキドキしっぱなしのスリラー映画です。
【スパイラル:ソウ オールリセット】(2021)
評価★3.3 おすすめ度76
監督:ダーレン・リン・バウズマン 脚本:ジョシュ・ストールバーグ、ピーター・ゴールドフィンガー
出演者:クリス・ロック、マックス・ミンゲラ、マリソル・ニコルズ、サミュエル・L・ジャクソン、モーガン・デイビット・ジョーンズ、アリ・ジョンソン、ダン・ペトロニエヴィッチ、ゾーイー・パーマー、ナズニーン・コントラクター、エディ・インクセッター、K・C・コリンズ
ストーリー
地下鉄の線路上。舌を固定され、宙吊りの男。猛スピードの電車が迫り、やがて男の体は四散する。それは猟奇犯が仕掛けた、ゲームの始まりだった。ターゲットは“全て警察官”。不気味な渦巻模様と青い箱が、捜査にあたるジークと相棒・ウィリアムを挑発し…。
解説
【ソウ】シリーズ過去8作をアップデート&リセットした完全なる新章で、今作は前作までの超犯人であるジグソウとの繋がりは、ほぼ無いため続編というよりはスピンオフ的な感じです。
ソウお馴染みの映画冒頭からの痛いシーンを見せられますが、歴代作品に比べると少し抑えめになっている印
象です。作風はソウ1と2を合わせたような内容で、全体を通してストーリー重視で、そこにソウのスパイスを足したような感じです。ソウの最新作として観ると肩透かしを喰らうかも知れませんが、だからこそ『オールリセット』の意味合いが生きてくるのかなと思います。ソウの風味は残しつつ、違った物語を作るのはとても難しいことかも知れないけれど、個人的にはうまく纏まってて面白いと感じました。
どうしても今までの【ソウ】シリーズと比べてしまい評価が下がってしまいますが、単純に良質なサスペンススリラーとして楽しめると思います。
【アンテベラム】(2020)
評価★3.8 おすすめ度85
監督:ジェラルド・ブッシュ、クリストファー・レンツ脚本:ジェラルド・ブッシュ、クリストファー・レンツ
出演者:ジャネール・モネイ、エリック・ラング、ジェナ・マローン、ジャック・ヒューストン、カーシー・クレモンズ、ガボレイ・シディベ、ロバート・アラマヨ、リリー・カウルズ、マルク・リチャードソン二世、デヴィン・A・タイラー
ストーリー
博士号を持つ社会学者で人気作家でもあるヴェロニカは、夫と娘と共に幸せな家庭を築いていた。ある日、講演会に招かれた彼女は、力強いスピーチで拍手喝采を浴びる。しかしその後、ヴェロニカの輝きに満ちた日常は突然崩壊し、悪夢へと反転する。
解説
ネタバレ厳禁で何の情報も入れずに観た方が面白いです。直球の人種問題をテーマに描いた、変化球スリラー。アンテベラムとはラテン語で、(南北)戦争より前の奴隷制度があった世界を意味するらしいです。
人種差別をテーマにした名作は数多くありますが、やはり惹きつけるストーリー、入り込ませる展開でなければ、過去の(今も続く)問題を訴える力が弱くなります。その意味では非常に力を持った作品だと思います。黒人の主役のジャネール・モネイの存在感は言わずもがな、上院議員はじめ差別する側の白人たちの演技も真に迫っています。
【ゲット・アウト】や【アス】よりもストレートに人種差別を描いた映画で、緻密に作られたストーリーと、二転三転する展開、そして衝撃のラスト30分、脚本秀逸、その本を忠実に再現し緊迫感とミステリアスを演出した、チームに感服させられる作品です。
【ナイトメア・アリー】(2021)
評価★3.7 おすすめ度83
監督:ギレルモ・デル・トロ 脚本:キム・モーガン、ギレルモ・デル・トロ
出演者:ブラッドリー・クーパー、ケイト・ブランシェット、トニ・コレット、ウィレム・デフォー、リチャード・ジェンキンス、ルーニー・マーラ、ロン・パールマン、メアリー・スティーンバージェン、デヴィッド・ストラザーン、ホルト・マッキャラニー、ジム・ビーヴァー、マーク・ポヴィネッリ
ストーリー
大恐慌時代のアメリカ。ショービジネスで成功を夢見る青年・スタンは、正体不明な生き物を出しものにする怪しげなカーニバルの一座にたどりつく。読心術の技を身につけたスタンは、人を惹きつける才能と天性のカリスマ性を開花させ、トップ興行師となるが…。
解説
ある中年男性スタンが、ある日行き着いたカーニバルで読心術を学びそこから発展していくダークスリラー。
クリーチャーが出てこないギレルモ・デル・トロ監督作品にしては珍しい現実的な話ですが、しっかり世界観を構築しています。不気味な雰囲気を漂わせながらも、美しい素晴らしい映像、キャストの演技も不気味な為、雰囲気に圧倒されます。圧倒された故、ストーリーよりも不気味な雰囲気に呪縛をかけられているような感覚に陥ります。主人公のスタンを演じたブラッドリー・クーパーの貪欲さ、それとケイトの怪演によるリリス博士の心を見せない不透明さ、モリーを演じたルーニー・マーラのスタンを支えようとする愛情の献身と、3人の心のベクトルが見事にすれ違っていく人生の妙が作品に重厚感を持たせています。
ワクワクする映画でもなく心が晴れる映画でもありませんが、人間が持つ汚さ、悪い部分を非常にうまく描いていて、自業自得と言う宿命の作品であり、静かなインパクトを与えてくれた脳裏に焼き付くような作品だと思います。
【グリーンランド ―地球最後の2日間―】(2020)
評価★3.4 おすすめ度82
監督:リック・ローマン・ウォー
出演者:ジェラルド・バトラー、モリーナ・バッカリン、ロジャー・デイル・フロイド、スコット・グレン、デヴィッド・デンマン、ヘイズ・メルキュール、ブランドン・クイン、アンドリュー・バチェラー、ジョシュア・ミケル、スコット・ポイスレス
ストーリー
突如現れた彗星の破片が隕石となり地球に衝突。平和な日常は一瞬で吹き飛んだ。世界崩壊まで残り48時間に迫るなか、建築技師のジョン・ギャリティの家族は避難所を目指して輸送機に駆けつけるが、離陸直前に家族は離れ離れになってしまう。
解説
地球上の動植物が75%死滅する災害が起きるので、その後の復興に有用な人材(と家族?)だけが避難所に招待される話。
物語は最初の隕石落下から始まり、人々が徐々に混乱していく様子、略奪、窃盗、殺人、家族の離散などの人間模様がとてもリアルに描かれていると思います。地球に隕石が衝突するのでジェラルド・バトラーが家族連れて逃げる映画ですが、パニック映画の第一人者エメリッヒの映画では避けてるところに焦点を絞っていてなかなか考えさせられるシーンが多いです。この家族が避難者に選ばれてシェルターまで行くんですが、途中にいる人を見捨てなければならない展開からの後半、自分達が今度は見捨てられる立場になったり、なりふり構わぬ行動に出る人を脅威として描いたかと思うと、自分達も後半にはなりふり構わぬ行動に出たりと人間の業を見せてくれます。主人公を含め人間の良い部分と悪い部分、両面を描いていて娯楽映画の枠内ではありますが、かなりリアルに感じられます。
ありがちなストーリー展開にもかかわらず、程よい緊迫感が最後まで続くので飽きることなく観れ、VFXが素晴らしく、スペクタル巨編かと思いきや徐々に人間ドラマの様相を呈してきて最後までしっかり楽しめる作品です。
まとめ(評価とおすすめ度)
タイトル | 評価★ | おすすめ度 |
【アオラレ】 | ★3.5 | 80 |
【スパイラル:ソウ オールリセット】 | ★3.3 | 76 |
【アンテベラム】 | ★3.8 | 85 |
【ナイトメア・アリー】 | ★3.7 | 83 |
【グリーンランド ―地球最後の2日間―】 | ★3.4 | 82 |
【アンテベラム】がやっぱり一番面白いですが他も安定して楽しめると思います。
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