今回ご紹介する作品は【ホット・サマー・ナイツ】【家なき子 希望の歌声】【ファイト・クラブ】【無垢なる証人】【ハウス・オブ・グッチ】の5作品をネタバレしない程度に紹介します。
葛藤とは、双方が互いに譲らず対立し、いがみ合うこと。心の中で相反する欲求・動機・感情が存在し、どちらをとるか迷う状態。仏語で、正道を妨げる煩悩のたとえ。
【ホット・サマー・ナイツ】(2017)
評価★3.5 おすすめ度80
監督:イライジャ・バイナム 脚本:イライジャ・バイナム
出演者:ティモシー・シャラメ、マイカ・モンロー、アレックス・ロー、エモリー・コーエン、トーマス・ジェーン、マイア・ミッチェル、ウィリアム・フィクナー、ジーイーン・セラルズ、Reece Ennis、ジャック・ケジー、トーマス・ブレイク・ジュニア、アレックス・ビッグレーン
ストーリー
1991年、最愛の父の死の痛手から抜け出せないダニエルは、叔母の家で夏を過ごすため、海辺の小さな町にやってくる。そこでダニエルは地元の不良・ハンターとつるむようになる。ダニエルはハンターの妹・マッケイラとひそかに逢瀬を重ねるようになるが…。
解説
世間知らずの青二才が自分の鬱憤を糧に、ちょっくらひと夏の旅人気取りで、背伸びして高嶺の花にアタックしてみたり、一丁前に悪時に手を出したてみた結果…というお話。
若さの持つ危うさと色気で若手俳優3人それぞれの天然素材を生かした演出が特徴の、実話ベースであるA24の作品。若気の至りで求めたスリルやその場の勢い、向き合わないで知らないふりしていた問題が交差して取り返しのつかない方向へ転がってしまう。日本ではなかなか起こり得ない世界観ですが、いろいろな意味で”ひと夏の物語”って感じです。90年代のアナログでおしゃれな雰囲気とか遊びの効いたカットが多く映像の綺麗さと儚さ、そして音楽のセンスの良さに雰囲気と映像だけでも楽しめます。
ティモシー・シャラメをはじめとしたキャストの撮り方や劇中で印象的なお洒落な洋楽、どこを切り取っても画になる映像美、その様々な要素が絡み合い、1991年の眩しくも哀しい青年のひと夏を再現している作品です。
【家なき子 希望の歌声】(2018)
評価★3.7 おすすめ度83
監督:アントワーヌ・ブロシエ
出演者:ダニエル・オートゥイユ、Maleaume Paquin、ヴィルジニー・ルドワイヤン、ジョナサン・ザッカイ、ジャック・ペラン、リュディヴィーヌ・サニエ
ストーリー
田舎の農村で“ママ”と一緒に暮らす少年・レミ。だがある日、出稼ぎから“パパ”が戻ってきたことからレミの人生は急変する。「お前はパリで高級な産着にくるまれ捨てられていたんだ」、“パパ”はそう告げると、レミを旅芸人のヴィタリスに売ってしまう。
解説
フランスの名作児童文学『家なき子』を実写映画化。義父に売り飛ばされ旅芸人の一座に加わった少年レミが歌の才能を発揮し仲間たちと旅を続けながらさまざまな苦難を乗り越えていく姿を描いた作品。
ダイジェスト版のような大雑把感はありますが、王道な内容でサクッと解りやすい感動もあり観終わったときには暖かい気持ちになれます。信じることの大切さを感じさせてくれ、過酷な状況に置かれても少年レミの誠実に頑張る様子に胸を打たれます。
定番の物語で、原作の対象年齢である小学生ぐらいの子供にお勧めできる作品ですが、ディズニー系の賢すぎる動物描写をしていないところにリアリティがあり、また感動の押付けと言う演出も控えているので、一緒に大人が観ても十分楽しめる内容だと思います。
【ファイト・クラブ】(1999)
評価★4.0 おすすめ度87
監督:デヴィッド・フィンチャー 脚本:ジム・ウールス
出演者:エドワード・ノートン、ブラッド・ピット、ヘレナ・ボナム=カーター、ミート・ローフ、ジャレッド・レトー、ザック・グルニエ、ピーター・イアカンジェロ、デヴィッド・アンドリュース、リッチモンド・アークエット、アイオン・ベイリー、デヴィッド・リー・スミス
ストーリー
保険会社に勤めるヤング・エグゼクティブのジャックは数カ月間、不眠症に悩まされていた。ある日、出張先から帰ってくると部屋が爆破されており、仕方なく飛行機で知り合ったタイラーの家に泊まることに。タイラーは自分を思い切り殴れと言い…。
解説
心に問題を抱える青年とタイラーと名乗る男を描く。
人生を取り戻せとばかりに、社会問題、哲学、暴力、愛がてんこもりで、響く言葉、シーンも多いです。アングラの中で殴り合うことで、消費社会から距離をとることを選択した男たち。モノに支配されるより、タイラーのカリスマ性に支配され、当のカリスマはアウトローな雰囲気を持つ女性に心を捉われる。ひとりひとりがこの限られた人生の中で、何かを見つけようとし、自分と他者と真剣にかかわりを持っている姿に心を支配されてしまいそうな、映画の魅力がすべて詰まった作品。
現代への風刺的な側面もあり、後半になるにつれて引き込まれる展開にどんでん返し、デヴィッド・フィンチャーらしい編集の巧さと独特の暗く神経質な画作りが良く、ブラット・ピットありきとみせかけて、実際はエドワード・ノートンの芝居で成り立ってるそんな作品です。
【無垢なる証人】(2019)
評価★4.0 おすすめ度84
監督:イ・ハン
出演者:チョン・ウソン、キム・ヒャンギ、イ・ギュヒョン、チャン・ヨンナム、ヨム・ヘラン、パク・クニョン
ストーリー
出世が懸かった殺人事件の弁護士に指名されたスノ。唯一の目撃者であるジウを証人として出廷させようとするが、彼女は意思の疎通が難しい自閉症だった。事件のことを聞き出そうと彼女を訪ね、心を通わせようとするスノ。やがて、彼女を理解するようになり…。
解説
殺人事件の弁護をしていた主人公が証言してもらうために自閉症の少女と仲良くなるうちに意外な事実が判明する裁判もの。
ジャンルがサスペンスとなっていますが、事件の証人になった少女が抱えている自閉症と呼ばれるものに対する世間の偏見や差別であったり、当事者本人が抱える苦悩や悲しみなどを綺麗事じゃなく真っ向から向き合って描いています。弁護士についても、普通の人間であるが故の苦悩や葛藤を持ち合わせているということ、彼が少女との関わりの中で人生における本当に大切なものは何かを見つけていく成長の過程、娘を一途に思う親の気持ちなども非常に丁寧・繊細かつドラマチックに描かれています。
何となく結末は予想ついてしまうかもしれませんが、ストーリーの力強さがその印象を消し去り、この映画で語っていることがすべてではないとは思いますが、自閉症の人への理解、関心、尊敬の念を呼ぶという意味でもすごく貴重な作品だと思います。
【ハウス・オブ・グッチ】(2021)
評価★3.7 おすすめ度82
監督:リドリー・スコット 脚本:ベッキー・ジョンストン、ロベルト・ベンティヴェーニャ
出演者:レディー・ガガ、アダム・ドライバー、アル・パチーノ、ジャレッド・レトー、ジャック・ヒューストン、ジェレミー・アイアンズ、サルマ・ハエック、カミーユ・コッタン
ストーリー
貧しい家庭の出だが野心のあるパトリツィアは、イタリアで最も裕福で格式高いグッチ家後継者の1人・マウリツィオをその知性と美貌で魅了し、結婚。やがて彼女は、一族の権力争いまで操るようになり、強大なファッションブランドを支配しようとするが…。
解説
GUCCIを一族経営していたグッチ一家が、ある女が嫁いできたことにより、衰退していく様を描いた物語。
レディーガガの存在感が凄いです。演技が上手いかどうかはわからないが、上昇志向の強い勝気な女性という役にハマっています。所謂ハリウッド俳優に囲まれながら、存在感は全く引けを取っていないばかりか、凌駕しているように感じます。リドリースコットらしく重厚な作品ですが、良くも悪くも本当にグッチ一族の人間関係にのみフォーカスを当てた作品なので、歴史やファッション云々については学ぶことは出来きません。良くも悪くもリドリー・スコット監督っぽさが強い作品で、ラスト15分に向かうまでの話をじっくりと2時間かけて描いていますが、飽きさせずに観せてくれるのがすごいと思います。
ファッション、俳優陣、監督、ドキュメンタリー性、そしてストーリーと、どの角度から観ても楽しめる作品なので、全方位的にオススメできる映画だと思います。
まとめ(評価とおすすめ度)
タイトル | 評価★ | おすすめ度 |
【ホット・サマー・ナイツ】 | ★3.5 | 80 |
【家なき子 希望の歌声】 | ★3.7 | 83 |
【ファイト・クラブ】 | ★4.0 | 87 |
【無垢なる証人】 | ★4.0 | 84 |
【ハウス・オブ・グッチ】 | ★3.7 | 82 |
映画のジャンルは違えど、どれも濃厚な人間ドラマが繰り広げられ最後まで飽きずに楽しめると思います。
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