今回ご紹介する作品は【天使のくれた時間】【この世界に残されて】【her/世界でひとつの彼女】【フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法】【フランス組曲】の5作品をネタバレしない程度に紹介します。
愛ゆえに人は苦しまねばならぬ!!愛ゆえに人は悲しまねばならぬ!!知らぬ間に悲しき悪の帝王・サウザーの名台詞の意味が解ってしまう年齢になりました。
【天使のくれた時間】(2000)
評価★3.9 おすすめ度87
監督:ブレット・ラトナー 脚本:デヴィッド・ダイアモンド、デヴィッド・ウェイスマン
出演者:ニコラス・ケイジ、ティア・レオーニ、ドン・チードル、ジェレミー・ピヴェン、ソウル・ルビネック、ジョセフ・ソマー、ジェイク・ミルコヴィッチ、ライアン・ミルコヴィッチ、リサ・ソーンヒル、ハーヴ・プレスネル、メアリー・ベス・ハート、アンバー・ヴァレッタ、フランシーヌ・ヨーク、マッケンジー・ヴェガ、ルース・ウィリアムソン、ジョエル・マッキノン・ミラー、ケイト・ウォルシュ
ストーリー
ビジネスでの成功を夢見て、恋人ケイトと別れたジャックは13年後、大手金融会社社長となり、独身生活を謳歌していた。だがある夜、不思議な黒人青年ジャックと出会った彼が、翌朝目覚めると、別れたはずのケイトが隣に眠り、会社に彼の席もなくなっていた…。
解説
独身貴族の全盛期?ニコラスケイジが、ひょんなことから愛し合っていた女性と家族を持っている別の世界線に行ってしまうお話。人生に大切なものを教えてくれるファンタジー映画。
幸せとは?を考えさせるベタベタなストーリーですが、大人だからこそ心つかまれるストーリーで、家庭を持つことの意味を教えてくれますし、仕事に時間を費やしている人に一度は観てもらいたい作品。ファンタジー要素はきっかけであって、それ自体を楽しむ映画ではありません。2000年の映画にしては映像が古臭いのは敢えてそうしているのだと思います。
1つの決断でどんな人生になるかはその人次第だし、その後にどんな未来が待っているかは誰にもわからないけど、悔いのない決断をしたいと思え、観終わった後は何だかとても温もりに包まれる、あったかい気持ちになれる作品です。
【この世界に残されて】(2019)
評価★3.8 おすすめ度84
監督:Barnabás Tóth 脚本:Klára Muhi、Barnabás Tóth
出演者:カーロイ・ハイデュク、アビゲール・セーケ、マリ・ナギー、Andor Lukáts、ヴェロニカ・ヴァルガ
ストーリー
第二次世界大戦終戦後の1948年、ハンガリー。ホロコーストで両親を失い、ひとり生き延びた16歳の少女・クララ。大叔母と暮らしながらも孤独な日々を送っていたクララはある日、寡黙な医師・アルドに出会う。2人は寄り添うことで人生を取り戻していくが…。
解説
ナチス・ドイツによって約56万人ものユダヤ人が殺害されたとされるホロコーストを題材に取り残されてしまった家族を描いた作品。
ホロコースト後に取り残されたからこそ生まれる、なんとも言えない関係性。孤独な2人の間にあったものが恩愛であっても恋であっても、お互いを人間として尊重した関係はとても美しいと思います。時代的に選ばざるを得ない選択肢だけども、自分の涙に気づいてくれる人が側に居てくれるだけで幸せなのかもしれません。
登場人物が少なくてシンプルなストーリーなのに情感豊かな演技と美しい画で印象的で、孤独の共感が会話の間や仕草で伝わるような演出がされており、最後の展開で孤独は永遠ではないという兆しが人生を象徴しているかのような、そんな作品だと思います。
【her/世界でひとつの彼女】(2013)
評価★3.6 おすすめ度82
監督:スパイク・ジョーンズ 脚本:スパイク・ジョーンズ
出演者:ホアキン・フェニックス、スカーレット・ヨハンソン、エイミー・アダムス、ルーニー・マーラ、オリヴィア・ワイルド、クリス・プラット、ポーシャ・ダブルデイ、サム・ジェーガー、ルカ・ジョーンズ、キャサリン・ボシェール
ストーリー
近未来のロス。手紙の代筆ライターのセオドアが新型の人工知能OS「OS1」をインストールすると、PC画面の中から聞こえてきたのは人工とは思えないほどセクシーでユーモアにあふれた「サマンサ」の声だった。やがてセオドアは彼女に恋をしてしまい…。
解説
孤独な傷心男がOSと呼ばれる人工知能との会話を重ねて心?を通わせていく異色のラブストーリー。
近未来を表現した無機質な感じと、暖色を基調にした衣装やセットが醸す温かみの組み合わせがとても良く、SF表現がいい具合にアナログとデジタルが入り混じっており、画面全体がポップな感じになっています。AIものにありがちな肉体と感情の話に終始せず、OSならではの所在の不安定さと同時処理性に切り込んだのは新しいですし、AIというよりは人間の上位存在との恋愛を見ているように思えます。
この先の未来において、この映画はフィクションではなくリアルに起きているかもしれないし、現代よりもはるかに多様性が広がりAIとの恋愛も受け入れられているかもしれません。しかしあくまで人間対人間、他者と向き合い、自分と向き合うという部分に軸足を置いているところがアカデミー脚本賞の所以だと思います。
【フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法】(2017)
評価★3.7 おすすめ度83
監督:ショーン・ベイカー 脚本:ショーン・ベイカー
出演者:ブルックリン・プリンス、ウィレム・デフォー、ヴァレリア・コット、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、クリストファー・リヴェラ
ストーリー
6歳のムーニーと母親のヘイリーは定住する家を失い、“世界最大の夢の国”フロリダ・ディズニー・ワールドのそばで、その日暮らしの生活を送っている。ムーニーは楽しい毎日を過ごしていたが、ある出来事を機に、夢のような日々に現実が影を落とし始める。
解説
まるでドキュメンタリー。フロリダディズニーランドの周辺で、安宿モーテルを住まいとするその日暮らしの親子とその周りの人の話。
キャラクターに明確なバックストーリーが与えられず、現在の姿を見守ることのできる本作の映画としてのスタイルと、色彩溢れる真夏のキラキラを感じれる映像美は流石A24です。モーテルでの生活状況や経済的状況がだんだん見えてくるとムーニーや子供たちの無邪気ささえも心苦しくなってくる。そのコントラストが絶妙で素晴らしい。とにかく下品、でも子どもへの愛情は本物の母親は聖母で、この世界自体がクソすぎるのか。
子供たちから見えていたその景色は大人からみたら決して裕福な環境ではないけど、彼女たちにとってはあのモーテルは立派なシンデレラ城であって、いつもの遊び場はディズニーランドだったんだろうなと感じさせるラストに震える作品です。
【フランス組曲】(2014)
評価★3.8 おすすめ度84
監督:ソウル・ディブ
出演者:ミシェル・ウィリアムズ、クリスティン・スコット・トーマス、マティアス・スーナールツ、サム・ライリー、マーゴット・ロビー
ストーリー
1940年6月、ドイツがフランスを支配。フランス中部の田舎町ビュシーで、出征した夫の帰りを待ちながら義母と暮らすリュシルの屋敷には、ドイツ軍中尉ブルーノが滞在することに。ともにピアノと音楽を愛するリュシルとブルーノは、いつしか惹かれ合い…。
解説
ドイツ占領下のフランスの片田舎で起きた、ドイツ軍の中尉と夫の帰りを待つ女性とのメロドラマ。
本作は、原作『フランス組曲』を元に作られた映画であり、その作家イレーヌ・ネミロフスキー氏は、あのアウシュビッツ収容所で死の恐怖と闘いながら未完とはなったものの必死に書き続けたものであります。他の映画などでよく目にする部分は多いですが、ミシェル・ウィリアムズとマティアス・スーナールツ、どちらも色気のある俳優によって、終始良い緊張感があり飽きさせません。複雑な母親の心情を憎たらしくもほろりとさせてくれたクリスティン・スコット・トーマスもさすがです。
非常に切ない映画ですが、戦争時の緊迫感と美しくも壮絶に描かれた叙事詩とのバランスがとても秀逸な映画で、禁断の恋を中心に描いた本作からは、忠実に描かれた激しい戦争映画以上に支配や戦闘行為がいかに皮肉で愚かな行動なのかということが十分に伝わってくる作品です。
まとめ(評価とおすすめ度)
タイトル | 評価★ | おすすめ度 |
【天使のくれた時間】 | ★3.9 | 87 |
【この世界に残されて】 | ★3.8 | 84 |
【her/世界でひとつの彼女】 | ★3.6 | 82 |
【フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法】 | ★3.7 | 83 |
【フランス組曲】 | ★3.8 | 84 |
単純だけど単純ではない考えさせられる映画ばかりです。
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