今回ご紹介する作品は【フォードvsフェラーリ】【シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢】【ラッシュ/プライドと友情】【大統領の執事の涙】【ウォルト・ディズニーの約束】の5作品をネタバレしない程度に紹介します。
実話モノのヒューマンドラマは長尺の作品も多く結構眠気を誘うものもありますが、5作品とも最後まで見入ってしまいました。
【フォードvsフェラーリ】(2019)
評価★4.1 おすすめ度88

監督:ジェームズ・マンゴールド 脚本:ジェズ・バターワース、ジョン=ヘンリー・バターワース、ジェイソン・ケラー、ジェームズ・マンゴールド
出演者:マット・デイモン、クリスチャン・ベイル、トレイシー・レッツ、カトリーナ・バルフ、ノア・ジュプ、ジョン・バーンサル、ジョシュ・ルーカス、レイ・マッキノン、JJ・フィールド、マリサ・ペトロロ
ストーリー
カーデザイナー・シェルビーのもとに、巨大企業・フォードから「ル・マン24時間レースで王者・フェラーリに勝てる車を作ってほしい」との依頼が入る。病でレース界から退いた過去を持つシェルビーは、型破りなドライバー・ケンと共に無謀なミッションに挑む。
解説
フォード社がレースカーを開発し、ル・マン24時間レースで絶対王者フェラーリに戦いを挑んでいく、実話をもとにした話。
物語は不器用なレーサーとその親友のメカニックの2人がフォードの役員相手に自分たちの信念をつら抜きながらレースに全力投球する様子が描かれています。大迫力のカーレースシーンは、ほとんどCGを使わずに撮影されており、レースカーの開発とル・マンでの勝利を目指す男たちの意地と情熱を描いた人間ドラマは激熱です。
ケン・マイルズの破天荒さとキャロル・シェルビーのクールさの対比が良く、演じるクリスチャン・ベイル、マット・デイモンのお二人はさすがです。緊張感溢れる終盤のアクシデントやトラブル、陰謀が渦巻く中での7000回転世界の疾走は観るものを惹きつけるものが確かにあって、車の知識は皆無に等しい人でもドラマをしっかり楽しめる作品だと思います。
【シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢】(2018)
評価★3.9 おすすめ度82

監督:ニルス・タヴェルニエ 脚本:ロラン・ベルトーニ、ファニー・デマレ、ニルス・タヴェルニエ
出演者:ジャック・ガンブラン、レティシア・カスタ、フローレンス・トマシン、ベルナール・ル・コク、ナターシャ・リンディンガー
ストーリー
ある日、つまずいた石の奇妙な形に魅了されたシュバルは、娘のために奇想天外な宮殿を建てることを思いつく。来る日も来る日も石を積み上げ続ける彼を村人たちは馬鹿にしたが、彼は決して諦めなかった。だが、そんな彼に、過酷な運命が待ち受けていた…。90日以内に配信終了の
解説
フランス南部にある、ガウディを彷彿とさせる奇想の建築物を建てた実在する郵便配達夫の実話。素朴で朴訥なひとりの人生の物語がぎゅっと詰まった上質な作品。
建築には全くの素人であった郵便配達夫のシュバルが、愛する娘のためにたった一人で33年もかかって宮殿を建てます。彼の死後に、ピカソやアンドレブルトンらに称賛されますが、建築中は変人扱いされ馬鹿にされる様子はまるでゴッホのようです。シュバル役のジャック・ガンブランの優しい瞳が、シュバルの生き様を語らずも映し出しており、心に染み入ります。
人からどう思われようと、心が折れる不幸が降り注いでも、再生して諦めず、愛する者の為に最後までやる男とそれを支えた妻の絆に胸が熱くなる作品です。
【ラッシュ/プライドと友情】(2013)
評価★3.8 おすすめ度85

監督:ロン・ハワード 脚本:ピーター・モーガン
出演者:クリス・ヘムズワース、ダニエル・ブリュール、オリヴィア・ワイルド、アレクサンドラ・マリア・ララ、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、デヴィッド・コールダー、ナタリー・ドーマー、スティーヴン・マンガン、クリスチャン・マッケイ、アリスター・ペトリ
ストーリー
緻密な計算に基づくレース展開で勝利を手にしてきた頭脳派ニキ・ラウダと、アグレッシブなテクニックを身上とする天才肌のジェームズ・ハント。F3時代からしのぎを削ってきた2人のライバルは1976年、世界一の座を賭けて世界最高峰の舞台F1で対決する…。
解説
セナやプロストの前世代のスーパースター、共に天才だけども性格、生き方が真逆な二人の実話にもとづいたライバルそして友情の物語。
レースで結ばれた切っても切り離せない2人の対照的な人生、2人の関係性を描いています。時に切磋琢磨し、常に1位を目指し戦い、ひたすらにレースに人生を賭けた男のドラマ。スピード感と恐怖感、迫力凄まじいF1バトルと共に、それぞれのドラマがテンポ良く描かれていてドラマ良し、演出良し、アクション良しの良作です。
実在していたレーサーたちの半生と確執をシンプルに描くも、レースの熱さは半端なく、エンジン音や個人視点、スピード感に危険性、どれもリアルで、F1という題材と相まって展開はスピーディーですが、構成に違和感なくレースとドラマのバランスも良く、特にF1や車に興味がなくても楽しめる作品だと思います。
【大統領の執事の涙】(2013)
評価★3.8 おすすめ度83

監督:リー・ダニエルズ 脚本:ダニー・ストロング
出演者:フォレスト・ウィテカー、デヴィッド・バンナー、マイケル・レイニー・Jr、ラジェシー・スミス、マライア・キャリー、アレックス・ペティファー、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、アムル・アミーン、クラレンス・ウィリアムズ三世、ジョン・フェルティッタ、Jim Gleason、オプラ・ウィンフリー、アイザック・ホワイト、デヴィッド・オイェロウォ、ジョー・クレスト、コールマン・ドミンゴ、アドリアーニ・レノックス、テレンス・ハワード、キューバ・グッディング・Jr、レニー・クラヴィッツ、パーネル・ウォーカー、ジェームズ・デュモン、ロバート・アバディーン、ロビン・ウィリアムズ、ジョン・キューザック、オリビア・ワシントン、ヤヤ・ダコスタ、ジェシー・ウィリアムズ、ジェームズ・マースデン、ミンカ・ケリー、ダニー・ストロング、イライジャ・ケリー、リーヴ・シュレイバー、ダナ・ゴアリアー、ネルサン・エリス、コリン・ウォーカー、アレックス・マネット、モー・マクレー、アラン・リックマン、ジェーン・フォンダ
ストーリー
黒人差別が日常的だった時代の米南部で、小作農の家に生まれたセシル。ある事件で親を失った彼は、家働きの下男から高級ホテルのボーイへと上り詰め、ホワイトハウスの執事にスカウトされる。しかし、長男が反政府運動に身を投じ、セシルは深い葛藤を抱える。
解説
この映画を観ると、オバマ大統領の「 Yes we can/必ずできる」を今までと違う感覚に感じることができると思います。実話をもとにしたホワイトハウスで七人の大統領に仕えた黒人執事の願いの物語。
大統領の執事として人種差別の大きい境目となる歴史を見てきた物語で、歴史と共に人種差別の背景を現在に至るまでにどのくらい闘ったのかを観ることができる作品で黒人差別の一面とアメリカの歴史について少しですが学ぶことが出来ます。映画自体は構成も良く飽きることなく観ることができ、実際の映像も多くあり当時の状況も分かりやすく、主人公を含めその周りの登場人物にも感情移入しやすいと思います。
単に差別に立ち向かうというストーリーではなく、白人が求めてる黒人像を上手く振る舞う主人公、一方でその息子は改革派、すれ違う親子がテーマを分かりやすくしていて、人種問わず豪華キャストが集結して作られた白人側の物語では決して語られないその内面の物語が描かれた作品。
【ウォルト・ディズニーの約束】(2013)
評価★3.8 おすすめ度82

監督:ジョン・リー・ハンコック 脚本:ケリー・マーセル、スー・スミス
出演者:トム・ハンクス、エマ・トンプソン、ポール・ジアマッティ、ジェイソン・シュワルツマン、ブラッドリー・ウィットフォード、コリン・ファレル、ルース・ウィルソン、B・J・ノヴァク、レイチェル・グリフィス、キャシー・ベイカー、メラニー・パクソン、アニー・ローズ・バックリー
ストーリー
娘の愛読書「メリー・ポピンズ」映画化実現のため、原作者のP・L・トラヴァースと直接交渉に臨んだウォルト・ディズニー。だがトラヴァースはかたくなにアレンジを拒み、アニメの使用も却下。その偏屈な態度の裏には、幼少期のある経験が深く関わっていた。
解説
児童文学をディズニー色にアレンジしたいウォルト・ディズニーと、自著を守りたいトラヴァース夫人の攻防が激しい、映画『メリー・ポピンズ』の制作秘話。『メリー・ポピンズ』を観てから本作を観た方が楽しめると思います。
現在の話とトラヴァース夫人の記憶が交互に語られる構成で、頑固で愛想のないトラヴァース夫人にイラッとしつつも、徐々にその生い立ちが見えてくると彼女の見え方も変わってきます。その頑固な感じを振る舞うエマ・トンプソンの演技も凄いし、ウォルト・ディズニーになりきれるトム・ハンクスも流石です。エンタメというより人間ドラマでディズニーというよりメリーポピンズ。
世界最高峰のエンターテイメントを時代と共に牽引してきて、夢と幸せと感動を与えるディズニーの並々ならぬ努力の過程やクリエイティブの一端が、本作の中で少しだけ垣間見える、そんな作品だと思います。
まとめ(評価とおすすめ度)
タイトル | 評価★ | おすすめ度 |
【フォードvsフェラーリ】 | ★4.1 | 88 |
【シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢】 | ★3.9 | 82 |
【ラッシュ/プライドと友情】 | ★3.8 | 85 |
【大統領の執事の涙】 | ★3.8 | 83 |
【ウォルト・ディズニーの約束】 | ★3.8 | 82 |
【フォードvsフェラーリ】【ラッシュ/プライドと友情】はアクションシーンもありますが、他はほとんどヒューマンドラマです。
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