今回ご紹介する作品は【ものすごくうるさくて、ありえないほど近い】【マンチェスター・バイ・ザ・シー】【スウィング・キッズ】【ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ】【存在のない子供たち】の5作品をネタバレしない程度に紹介します。
感慨深いとは、しみじみと感じ入るものがある、感じ入っている、という意味で用いられる表現。幸せ100%のハッピーエンドでは無いかもしれませんが…。
【ものすごくうるさくて、ありえないほど近い】(2011)
評価★3.8 おすすめ度86

監督:スティーヴン・ダルドリー 脚本:エリック・ロス
出演者:トム・ハンクス、サンドラ・ブロック、トーマス・ホーン、マックス・フォン・シドー、ヴィオラ・デイヴィス、ジョン・グッドマン、ジェフリー・ライト、ゾー・コードウェル、ヘイゼル・グッドマン、スティーヴン・ヘンダーソン
ストーリー
9.11アメリカ同時多発テロで父親を亡くした少年オスカーは、悲しみから立ち直れずにいた。そんなある日、父の遺品の中から1本の鍵を見つけたオスカーは、それが父親からのメッセージであると信じて、ニューヨークの街へ飛び出してゆく…。
解説
ジョナサン・サフラン・フォアによるベストセラー小説を映画化。9.11で亡くした父親が残した鍵とblackの文字を手掛かりにNYの街を調査する冒険物語。
父親が残した謎は何か?という点についつい目がいってしまいますが、オスカーが父の死を乗り越える過程とそれを取り巻く人々、家族の愛情についてを明らかにするところが、謎解きになっている構成ですごく良いです。
感情の激しさを長いセリフで熱演する主人公役の少年は圧巻の演技。トム・ハンクスとサンドラ・ブロックもさすがの演技ですが祖父役のマックス・フォン・シドーも存在感があって良いです。
ストーリーは子供が宝探しするようなワクワク感があり面白く、登場人物がみんな優しくて魅力的で特性を持つ少年の特別な体験と成長に胸が熱くなる作品です。
【マンチェスター・バイ・ザ・シー】(2016)
評価★3.8 おすすめ度82

監督:ケネス・ロナーガン 脚本:ケネス・ロナーガン
出演者:ケイシー・アフレック、ミシェル・ウィリアムズ、カイル・チャンドラー、ルーカス・ヘッジズ、カーラ・ヘイワード、ベン・オブライエン、クインシー・タイラー・バーンスティーン、ミッシー・ヤガー、スティーヴン・ヘンダーソン、メアリー・マレン、ルイス・D・ウィーラー、C・J・ウィルソン、スーザン・プルファー
ストーリー
兄の死をきっかけに、ボストンから故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻って来たリー。兄の遺言により16歳の甥・パトリックの後見人となったリーは、パトリックと暮らすことになる。だが、リーとこの町にはあまりに悲しい過去があり…。
解説
清算、贖罪、妥協、さまざまな感情が渦巻いている、そんな一人一人の思いを情感たっぷりに描き、観るものに訴えかける、静かな静かな映画。
ストーリーの展開的に前半から終盤まで、ひたすらに重い空気で暗く、特に盛り上がる展開もなければベタに号泣するシーンもありませんが、主人公の心情と共に動き出すストーリー展開が本当にリアルに描かれて、淡々としてるけど、没入感があります。
悲しいエピソードを取り扱ってるのに重くなりすぎず、ストーリー自体はありがちだけど退屈しない、映し出される街の風景もどこか寂しげで非常に印象的で、その静かで抑えられたトーンの空気感に不思議と引き込まれていく作品。
【スウィング・キッズ】(2018)
評価★4.1 おすすめ度88

監督:カン・ヒョンチョル 脚本:カン・ヒョンチョル
出演者:ド・ギョンス(D.O.)、ジャレッド・グライムス、パク・ヘス、オ・ジョンセ、キム・ミンホ、ロス・ケトル、A.J. Simmons、ソン・ジェリョン、イ・ギュソン、イ・ダウィ、パク・ジンジュ、パク・ヒョンス、チュ・へウン
ストーリー
朝鮮戦争当時の巨済捕虜収容所。新任の所長はイメージアップのため、戦争捕虜によるダンスチーム結成プロジェクトを計画する。トラブルメーカーのロ・ギス、通訳士のヤン・パンネなど、ちぐはぐなメンバーで「スウィング・キッズ」が結成されるが…。
解説
朝鮮戦争の時代を舞台に、北朝鮮人捕虜とそれぞれが様々なバックグラウンドを抱えた人々がタップダンスを通してチームとして一つになっていくところに感動する作品。
前半は割りとコミカルなシーンも多いですが、後半はシリアスで衝撃的な展開が多くて戦争映画であることを実感させられます。それでもダンスシーンの熱量が凄まじくて、踊ってる主人公と同じように、観てるこちらもダンスの間だけは戦争を忘れて夢中になれます。
スウィングキッズのメンバーをはじめ、脇役達まで個性が強くて印象的で、タップダンスでエンタメ要素もありつつ戦争映画としてのメッセージ性、青春映画としての輝き、そして人間の熱量、韓国映画のレベル高さを見せつけられる作品です。
【ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ】(2001)
評価★3.9 おすすめ度85

監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル 脚本:ジョン・キャメロン・ミッチェル
出演者:ジョン・キャメロン・ミッチェル、マイケル・ピット、ミリアム・ショア、スティーヴン・トラスク、セオドア・リスチンスキー、ロブ・キャンベル、マイケル・アロノフ、アンドレア・マーティン、ベン・メイヤー=グッドマン、アルバータ・ワトソン、ジーン・ピルツ
ストーリー
東西冷戦下の東ドイツで生まれた少年ハンセルは、アメリカに渡ってロックスターになる夢を実現しようと、性転換手術を受けて米兵と結婚。ヘドウィグと名を変える。渡米してすぐに米兵から捨てられながらも、ロックバンドを結成するヘドウィグだったが…。
解説
傑作ミュージカルの映画化。多少癖のある映画ですが人の抽象的な内面性に触れるようで、他の人の解釈を聞いてみたくなるような作品。
歌、回想、歌、現在、歌、みたいな構成になっており、ストーリーはヘドウィグのこれまでの生い立ちを音楽と共に進行していきます。ストーリーの上で生まれるヘドウィグの愛や怒りという感情が見事に音楽と同化しているので、観ている者の感情をより昂らせてきます。
愛を渇望し、裏切られながらも生きてゆくヘドウィグのいう人間の美しく真っすぐな生き様、そしてラストにかけての「自分自身を偽らずにあるがままで生きてゆく」というメッセージ。LGBT映画というカテゴライズをされる作品かも知れませんが人間全員に突き刺さるようなメッセージ性を持った映画だと思います。
【存在のない子供たち】(2018)
評価★4.2 おすすめ度89

監督:ナディーン・ラバキー 脚本:ナディーン・ラバキー
出演者:ゼイン・アル・ハッジ、ヨルダノス・シフェラウ、ボルワティフ・トレジャー・バンコレ、Kawsar Al Haddad、Fadi Yousef
ストーリー
「僕を産んだ罪」で両親を訴えた12歳の少年・ゼイン。両親が出生届を出さなかったため法的には社会に存在しないゼインは、学校にも通わず、兄妹と劣悪な労働を強いられていた。大切な妹が11歳で強制結婚させられ、ゼインは怒りと悲しみから家を飛び出すが…。
解説
貧しさゆえに親からまともな愛情も受けることができずに生きる12歳の少年の目線を通し、中東の貧困・移民問題を抉り出した人間ドラマ。
キャストがみんな役柄に似た境遇の素人で、だからこそのリアリティで環境が環境だけにまるでドキュメントを観ている様な重い映画です。それでも完全にリアルというよりは、この実情を知らない人間にも分かりやすく伝わるような易しい物語にしてくれているような気もします。
目を背けてはいけない世界があると分かりながら、どこか他人事で自分じゃなくて良かったと思ってしまう、まさにそういう自分の隙間を抉られるような作品です。
まとめ(評価とおすすめ度)
タイトル | 評価★ | おすすめ度 |
【ものすごくうるさくて、ありえないほど近い】 | ★3.8 | 86 |
【マンチェスター・バイ・ザ・シー】 | ★3.8 | 82 |
【スウィング・キッズ】 | ★4.1 | 88 |
【ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ】 | ★3.9 | 85 |
【存在のない子供たち】 | ★4.2 | 89 |
【ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ】は癖が強く、【存在のない子供たち】は結構重いですが全作見応え十分です。
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