今回ご紹介する作品は【鵞鳥湖の夜】【ゴーン・ガール】【ヘイトフル・エイト】【THE GUILTY/ギルティ】【ブラック・スワン】の5作品をネタバレしない程度に紹介します。
サスペンスは、ある状況に対して不安や緊張を抱いた不安定な心理、またそのような心理状態が続く様を描いた作品。
【鵞鳥湖の夜】(2019)
評価★3.7 おすすめ度80

監督:ディアオ・イーナン 脚本:ディアオ・イーナン
出演者:フー・ゴー、グイ・ルンメイ、リャオ・ファン、レジーナ・ワン
ストーリー
刑務所を出所したばかりのチョウは、誤って警官を射殺してしまい全国に指名手配される。追い詰められたチョウは、自らに懸けられた報奨金を妻子に残そうと画策。そんな彼の前に、妻の代理と名乗る謎めいた娼婦・アイアイが現れ、2人は行動を共にするが…。
解説
中国社会の底辺で生きる人間たちの現実を描いたノワールサスペンス。警察官殺しの男と、彼の妻の代理を名乗る謎の女性との逃亡劇を描きます。
中国のサスペンスは韓国サスペンスとは全く映画の色調が違い、ストレートなバイオレンス描写は少なめで終盤のひねりも少ない。韓国のの容赦ない展開を期待すると、ちょっと物足りなさを感じるかもしれません。ストーリーはどこか回りくどく、全体的には割と地味な映画ではあるが、ノワール系の暗い冷たい空気感と、カラフルなネオン系の照明演出でダレることなく包みこまれます。
冒頭から鮮やかな色彩と闇の対比が強烈で、印象的なショットの連続で、常に緊張感に包まれて先の読めないストーリーにリアルな生活臭の漂う中国の現代が垣間見える作品です。
【ゴーン・ガール】(2014)
評価★3.8 おすすめ度88

監督:デヴィッド・フィンチャー
出演者:ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリス、タイラー・ペリー、キム・ディケンズ、パトリック・フュジット、デヴィッド・クレノン、ローラ・カーク、エミリー・ラタコウスキー、ケイシー・ウィルソン、ボイド・ホルブルック、セーラ・ウォード
ストーリー
5年目の結婚記念日に、ニックの妻・エイミーが失踪する。警察は失踪と他殺の両面から捜査を開始し、マスコミはこの謎めいた事件に注目した。調べが進むにつれ、ニックの不可解な言動が明るみに出て、彼は全米から批判と疑惑の目にさらされることになる。
解説
本当にあった話を基盤に作られているらしい。
BGMは環境音か主張しない小さいモノのみの静かな映画で、間延びもなく淡々と物語が進みますが、二転三転で前半からは想像できない怒涛の後半戦に引き込まれます。特にサスペンス好きの人は馴染みあるテンプレを想定して観ていると、途中で面食らうと思います。静かな映画が話の展開や演技に画面から目を離させない迫力があります。
視聴者裏切りの要素も楽しめますが、本作の見所は、人間の醜い部分(偽り、虚勢、怠惰、憎悪、執拗さ、嫉妬、エゴなど)が如何にして人生を歪めるか。人間の醜さも強く貫けば、不自然で歪んだ人生をも正当化してしまう、、そんな物語を生々しく描いた作品です。
【ヘイトフル・エイト】(2015)
評価★3.7 おすすめ度82

監督:クエンティン・タランティーノ 脚本:クエンティン・タランティーノ
出演者:サミュエル・L・ジャクソン、ジェニファー・ジェイソン・リー、カート・ラッセル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、ウォルトン・ゴギンズ、ゾーイ・ベル、ジェームズ・レマー、ブルース・ダーン、ドゥニ・メノーシェ、ジェームズ・パークス、チャニング・テイタム
ストーリー
南北戦争終結後のワイオミング。猛吹雪に見舞われた賞金稼ぎ・マーキスは、凶悪犯の女・イジーを捉えた元騎兵隊の賞金稼ぎ・ルースと遭遇。寒さから逃れようとある紳士洋品店へ飛び込むが、店内には怪しげな男たちが。緊張が走るなか、思わぬ事件が起きる。
解説
8人が織りなす密室ミステリーサスペンス映画。殺人事件発生をきっかけに意外な真相が明らかになっていきます。
やっぱり最後はぶちまけてくれたタランティーノ。狂気じみたシーンもありますけれど、爽快と言わずにはいられない彼の作品の勧善懲悪ぶりが良いです。主要人物8人の内、最重要人物があっさり死んり1番胡散臭いやつが嘘つきでは無かったり、結果は分かってるのに最後まで先の読めない展開が面白いです。
物語半分の時間をかけて、それぞれの人物を理解した途端、今までの事なんかどうでもいいとばかりに、物語が急速に動き出します。いつ誰が死んでもおかしくない緊張感と、それを作り出す登場人物の個性や会話、社会背景など、観る人を選ぶタランティーノ作品ですがハマる人には最後まで目が離せな作品だと思います。
【THE GUILTY/ギルティ】(2018)
評価★3.7 おすすめ度85

監督:グスタフ・モーラー 脚本:エミール・ナイガード・アルベルトセン、グスタフ・モーラー
出演者:ヤコブ・セーダーグレン、イェシカ・ディナウエ、ヨハン・オルセン、オマール・シャガウィー、ジェイコブ・ウルリク・ローマン、ローラ・ブロ、Morten Suurballe、Morten Thunbo
ストーリー
ある事件を機に警察官としての一線を退き、緊急通報指令室のオペレーターとして些細な事件を対応するアスガー。ある日彼は、今まさに誘拐されているという女性自身からの通報を受ける。助けを求める女性に対して、彼が持つ事件解決の手段は電話だけだった。
解説
1時間半ずっと緊急ダイヤルのオペレーターおじさんがドアップで映ってるサスペンス。電話の声と沈黙だけで構成されてるのに物凄い緊迫感があって、見てないはずの映像が鮮明に浮かぶほど想像力を掻き立てられます。
この作品のすごいところが、緊急通報指令室のシーンのみ。つまり、映画鑑賞中も指令室しか映っていないのですが、なぜかSOSを出す女性が連れ去れているシーンやそこに警察官が向かっているシーン、女性の子供たちの家に警察官が来たシーンなど、あらゆるものが脳内で映像として創り上げられているのです。
この設定でも全く飽きずに最後までハラハラしながら鑑賞でき、お金を沢山かけて派手なシーンを作らずとも、観客の想像力を利用することで面白いと思える作品は作れるということを立証した素晴らしい良作だと思います。
【ブラック・スワン】(2010)
評価★3.6 おすすめ度83

監督:ダーレン・アロノフスキー 脚本:マーク・ヘイマン、アンドレス・ハインツ、ジョン・マクラフリン
出演者:ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス、バーバラ・ハーシー、ウィノナ・ライダー、バンジャマン・ミルピエ、クセニア・ソロ、クリスティーナ・アナパウ、ジャネット・モンゴメリー、セバスチャン・スタン、トビー・ヘミングウェイ
ストーリー
ニューヨークの一流バレエ団に所属するニナは、長年プリマを務めてきたベスの引退を機に『白鳥の湖』の主役に抜てきされる。だが純真な白鳥と魔性の黒鳥、一人で二役を務める重圧からニナの精神は崩壊、恐怖と官能の入り交じる幻覚に悩まされるようになる。
解説
バレエダンサーの焦りと不安と苦悩と、自分を越えたいという強烈な意思とエネルギーで展開する心理サスペンス。観てるこっちが頭がおかしくなりそうになるぐらい世界的のある作品。
鏡越しのショット、オーケストラサウンド、生々しい痛覚描写、恐怖を孕んだ官能美。五感をフルに刺激されるような表現の数々で、精神的に激詰めしてきます。ただバレエを踊っているだけなのに、サスペンスとして成立させるカメラワークがとにかく素晴らしいです。
壊れゆく内面を見事に表現したナタリー・ポートマンの好演は、みずみずしい少女から大人の女性への成長を感じさせ、アカデミー主演女優賞の栄誉に相応しい素晴らしいものです。サイコスリラーが好きな人、バレエなどの舞台が好きな人、狂気的な演技が見たい人におすすめな作品です。
まとめ(評価とおすすめ度)
タイトル | 評価★ | おすすめ度 |
【鵞鳥湖の夜】 | ★3.7 | 80 |
【ゴーン・ガール】 | ★3.8 | 88 |
【ヘイトフル・エイト】 | ★3.7 | 82 |
【THE GUILTY/ギルティ】 | ★3.7 | 85 |
【ブラック・スワン】 | ★3.6 | 83 |
どの作品もどうやって物語が結末を迎えるのか気になって見入ってしまうと思います。
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