今回ご紹介する作品は【ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!】【ボヘミアン・ラプソディ】【セッション】【カセットテープ・ダイアリーズ】【ガリーボーイ】の5作品をネタバレしない程度に紹介します。
多種多様な音楽に多種多様な人間ドラマがある作品たちです。音楽からパワーを与えられた者は音楽でパワーを与えたいと思うのかもしれません。
【ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!】(2018)
評価★3.9 おすすめ度86
監督:ユーソ・ラーティオ、ユッカ・ヴィドゥグレン
出演者:ヨハンネス・ホロパイネン、ミンカ・クーストネン、ヴィッレ・ティーホネン、マックス・オヴァスカ、マッティ・シュルヤ、ルーン・タムティ、Torstein Bjørklund
ストーリー
フィンランド北部の村で退屈な日々を送るトゥロは、4人組ヘヴィメタルバンドのボーカル。だが、単なるコピーバンドの彼らはステージに立ったことも、オリジナル楽曲を作ったこともない。そんな彼らにある日、フェス出演という大チャンスが巡ってくるが…。
解説
キャラ濃いめ、アク強めでクスッと笑ってしまう、おバカ北欧コメディでありながら夢を追う男たちの熱いメタルな映画。
普通フィンランドと言えばムーミン、サンタ、トナカイを思い浮かべると思いますが、ヘヴィメタルの聖地でバンド数世界一でメタルという音楽が国民に浸透していて子供から大人まで親しまれている国らしいです。
序盤はフィンランドの自然の美しさをうまく見せながら主要メンバーの紹介と、ありがちなストーリー展開でベタな笑いで話は進んでいきますが、途中から飽きさせる事ないストーリーや感情移入させる気が無い展開に、二次曲線的に面白さが上がっていきます。
細かい演技も、ブレーキのついていない自転車の止め方やメイクを施しての登場シーンなど、じわじわと笑えるものばかりで全く感動しない完全にコメディな作品です。
【ボヘミアン・ラプソディ】(2018)
評価★4.2 おすすめ度92
監督:ブライアン・シンガー、デクスター・フレッチャー 脚本:アンソニー・マクカーテン
出演者:ラミ・マレック、ジョセフ・マッゼロ、エイダン・ギレン、ベン・ハーディ、ルーシー・ボイントン、トム・ホランダー、アレン・リーチ、グウィリム・リー、アーロン・マカスカー、ミッチェル・ダンカン、エース・バッティ、マックス・ベネット、マイク・マイヤーズ
ストーリー
1970年、ライブハウスに通う若者・フレディは、ボーカルが脱退したバンドに自らを売り込み、クイーンを結成する。彼らは革新的な挑戦を続け、次々とヒット曲を生み出していく。しかし、栄光の影で次第にフレディはメンバーと対立し、孤独を深めていく。
解説
クイーン好きな人もそうじゃない人も観て損はしない、社会現象になったのも頷ける作品。
じっくりとフレディ・マーキュリーの歴史を知ることができ、最後21分のライブエイドのシーンは、フレディの動きの特徴、ピアノの上に置いてあるコップの数等、キャストの演技だけではなく、その他の舞台美術も当時のままを描かれています。会場の一体感も完全に再現されていて鳥肌モノです。
納得の役作りと演技力でアカデミー賞俳優ラミ・マレックの激似演技もさることながら、ギターもドラムもベースもソックリです。
フレディの素晴らしさだけを集めた崇高的で偽善的な映画ではなく、彼の孤独で悲しくクソみたいな生活までもしっかりと描き出していることが彼の人間味を強く感じさせます。誰もが一度は聴いた事のある名曲がたくさん流れますし、ストーリーもテンポ良く分かりやすいので多くの方に観てもらいたい素晴らしい作品だと思います。
【セッション】(2014)
評価★4.0 おすすめ度88
監督:デイミアン・チャゼル 脚本:デイミアン・チャゼル
出演者:マイルズ・テラー、J・K・シモンズ、ポール・ライザー、メリッサ・ブノワ、オースティン・ストウェル、ネイト・ラング、クリス・マルケイ、デイモン・ガプトン、スアンヌ・スポーク、マックス・カッシュ、エイプリル・グレイス、ジェイソン・ブレア、コフィ・シリボエ、カヴィタ・パティル、C.J. Vana
ストーリー
プロのジャズドラマーを目指し、名門音楽大学に入学したアンドリュー・ニーマンは、ある日、フレッチャー教授のバンドにスカウトされる。夢に近づいたことを喜ぶアンドリューだったが、完璧を求めるフレッチャーのレッスンは常軌を逸したものだった…。
解説
題名であり、劇中何度も演奏される『whiplash』には『鞭』という意味があり、その題名通り、主人公は鬼教師の指導にへこたれず跳ね返ってきます。この作品は主人公と鬼教師の2人だけの世界であり、彼らの闘いを描いている作品です。
コマ割りやテンポ感など映像の仕上がりは圧巻の一言で、ステージの緊張や張り詰めた空気のリアリティも素晴らしく主人公の感じている緊張感や不安や様々な感情が伝わり過ぎる作品。主人公が追い詰められていく表情や台詞、教授のサイコパスなキャラクター造形は見事です。
人間関係の写し方、ストーリーの構成、映像、音、演技、狂気じみたものを感じるほど完璧で、上質でワイルドな相反するものが混合した雰囲気の作品だと思います。
【カセットテープ・ダイアリーズ】(2019)
評価★3.9 おすすめ度90
監督:グリンダ・チャーダ 脚本:サルフラズ・マンズール、グリンダ・チャーダ、ポール・マエダ・バージェス 原作:サルフラズ・マンズール
出演者:ヴィヴェイク・カルラ、クルヴィンダー・ギール、ミーラ・ガナトラ、ネル・ウィリアムズ、アーロン・ファグラ、ディーン・チャールズ・チャップマン、ロブ・ブライドン、ヘイリー・アトウェル、デヴィッド・ヘイマン
ストーリー
イギリスのルートンの小さな町で暮らすパキスタン系少年のジャベドは16歳。誕生日が同じ、幼馴染みのマットは恋人ができ、青春を楽しんでいた。一方、ジャベドは孤独にうっ屈を募らせていたが、ブルース・スプリングスティーンの音楽と衝撃的に出会い…。
解説
移民である事と父の重圧で自分に自信が持てず、自分をうまく表現できなかった青年がある1人のシンガーに出会い、歌に影響され自分の考え通りに人生を送ろうとする実話をもとにした物語。
曲が始まると壁に歌詞がプロジェクションマッピングのように映し出されたり、ミュージカルのようにみんな踊り出したりと、ポップな演出がとても楽しく、そしてガールフレンドとの恋愛、幼なじみとの友情、父や母との家族愛など、たくさんの素敵な愛が詰まってる作品。
音楽やファッション、ライブチケットをレコードショップで手売りするシーンや国民戦線の描写など、当時の文化や政治的背景をリアルに感じられる工夫がされており、音楽や本や映画に救われた時代があったことを思い出させてくれる作品だと思います。
【ガリーボーイ】(2018)
評価★3.9 おすすめ度87
監督:ゾーヤ・アクタル
出演者:ランヴィール・シン、アーリアー・バット、ヴィジェイ・ヴァルマ、シッダーント・チャトゥルヴェーディー、カルキ・ケクラン、Nakul Roshan Sahdev
ストーリー
スラム街に暮らすムラドは、生まれで人を判断するインド社会に憤りを感じていた。そんなある日、あるラッパーと出会い、言葉とリズムで気持ちを表現するラップに魅了される。そして現実を変えるため、ラップバトルで優勝を目指すことを決意する。
解説
インドで活躍するアーティスト『Naezy』の実話をもとに、ムンバイのスラムで生まれ育った青年がラップと出会い、大会で優勝を目指すサクセスストーリー。インド映画の歌とダンスが多く無駄に長尺っていうイメージをいい意味で払拭してくれた作品。
ヒップホップ映画といえばエミネムの『8マイル』が浮かびますが、今作もヒップホップを代表する映画と言っても過言ではないぐらいに痺れる映画です。スラム街で暮らすムラドが自分の抱える闇、過去の境遇や経験、そして葛藤、全てを歌詞にして吐き出していく姿はとてもカッコ良く胸に刺さります。
ラップというのは題材に過ぎず、インドの抱えるカースト社会や男尊女卑、一夫多妻、貧困や暴力といった諸問題をベースに置きながら、描いているのは若者が必ず直面する恋人や友人、家族との軋轢なので、こうした人間関係を正面から捉えた映画はとても面白いと思います。
まとめ(評価とおすすめ度)
タイトル | 評価★ | おすすめ度 |
【ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!】 | ★3.9 | 86 |
【ボヘミアン・ラプソディ】 | ★4.2 | 92 |
【セッション】 | ★4.0 | 88 |
【カセットテープ・ダイアリーズ】 | ★3.9 | 90 |
【ガリーボーイ】 | ★3.9 | 87 |
笑いあり涙あり狂気あり(笑)、どの作品も特に音楽に興味なくても面白いと思います。
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